夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

くらやみにストロボ:ハヤカワノジコ (感想)

くらやみにストロボ (マーブルコミックス)

《あらすじ》

おまえを好きでよかった

高校生の新と正太朗。
幼馴染の二人だが、長い間、新は正太朗への想いを隠して過ごしていた。
これまでも、そしてこれからも言うつもりのない「好き」という言葉。しかしある時、正太朗から思いもよらぬ告白を受け……。
幼馴染から恋人へ、変化する関係を繊細かつ濃密に綴るきらきらラブストーリー。
2人の友人である澤山&長谷のビミョーな関係を描いた番外編も収録!

 

濃密で尊い恋物語

 幼馴染の高校生ものです。心の機微の描写が巧みで、彼らの葛藤が強く伝わってきます。

題名にストロボとあるように、この話にはカメラが大きく関わってきます。しかもアナログスタイル。コマのいたるところにフィルムがちりばめられていて、登場人物の心理を補完してくれます。ふと思ったのですが、いまどきの10代はフィルムカメラの存在を知っているんですかね...

やはりハヤカワノジコ先生の独特なコマ割りと相まって、重要な役割を果たしてくれていました。

 

《攻め:正太朗(表紙左)、受け:新(表紙右)》

【ここからネタバレ】(あらすじは要既読)

:一方通行かと思いきや

この物語は、序盤で2人が両想いになってから展開されます。

新はこじらせてるし、正太朗は何も考えてないように見えて結構聡いです。新のこじらせはかなり厄介で、後々障害になってきます。

きっかけは新が、正太朗が告白の呼び出しをされるたびにその現場を盗み聞きしていたことです。

そんなことを続けているとついに正太朗に見つかってしまいます。しかも「すきな人がいるから」といって断っていた告白の直後です。

彼に好きな人がいたという事実にショックを受ける新ですが、正太朗は新に好きな人が写っているという写真を見せます。それはフィルムの1コマなんですが、そこに写っていたのは幼い頃の新と正太朗でした。

好きな人が自分だと知って赤面する新が可愛かった...

 

:葛藤する新

両想いになったのはいいのですが、いきなり甘くなるわけではありません。

正太朗は結構ぐいぐいと周りを気にせず新に近づいていくのですが、新は不自然すぎるくらいに正太朗から離れたりしてしまいます。正太朗をいじめや偏見の目にさらしたくないという思考からの行動です。健気。

実は新は、男同士の恋愛というものは”隠さなければいけない”という思いに囚われています。中学生の時、ゲイの先輩がいじめられているのを見かけたことがきっかけでした。

付き合っていることがいつも行動する4人グループに知られ、その友人1人から完全に拒絶されてしまいます。このことが新の心に余計に刺さります。好きな人が無視されているのを見ると、そりゃ辛いですよね。

ここに関しては正太朗の性格によって救われて解決しました。

 

:振り払われる手

この2人の思考には結構な差があって、もだもだと絡まっています。

新は、周りになるべく知られないように、正太朗を手放さなくて良いように慎重に行動します。実際好きでも、友人から恋人に関係性が変わるとどうしたら良いか戸惑うことありますよね。新もそんな感じで混乱していることがわかります。

変わって正太朗は単純思考で、好きなんだから一緒にいて触って傍にいることが当たり前だという考え。新の慌てぶりをイマイチよく理解できていません。

そんなある日の夜、2人きりの公園で手を繋いでいた時、人の気配に正太朗から手を振り払われてしまいます。甘かった雰囲気が一変...

人がきたからという理由はわかるのですが、この1件が深く新の心に刺さりました。

 

:今のことを考える

新は今の正太朗との関係だけでなく、その先の未来の関係性までぐるぐると悪い方向に考えてしまいます。一緒にいられなくなったらどうしよう...とか。

ぐちゃぐちゃと考えた中で出た「はなさないでほしい」という気持ちは、正太朗のことが好きすぎるからだろうなと思いました。

新はとりあえず、”今”のことを考えようとこの考えを改めます。そして手の振り払い事件から、ギクシャクしていた2人はようやく互いの気持ちを打ち明けます。

正太朗が新へ向けた「今と変わんないよ これからもずっと ずぅっと」という言葉が響きます。新がずっと気にしていたことを、綺麗に払拭してくれました。

幸せそうに額を合わせる姿がとても可愛い。

 

+α

 この物語のキーが冒頭でも書きましたが、カメラです。

新は学校の女子生徒相手に、男子生徒の写真を販売しています。部活の風景とかを写真部という肩書きを利用して撮りまくってます。

もちろん正太朗のことも撮っていましたが、彼だけは「彼専用」のカメラを用いていました。わざわざ普段のカメラと似たモデルを使用しています。

そして、自分専用のカメラがあることに正太朗自身も気づいています。結構昔から。

このことをネタバレするのが”結”の場面なんですが、正太朗への印象がガラッと変わった出来事でした。大型犬の毛皮をまとった狼みたいな...

新の慌てっぷりも可愛かったです。

 

最後に

 スピンオフとして友人2人のエピソード「空せ視に灯」が載っています。これその後連載という形になったのですが、数話掲載された後、続きがないんです...辛いです。ぜひ連載再開してください~~!!!

フィルムのように想いが溢れて絡まって、一瞬の恋はまさにストロボです。

その一瞬をうまく現像できれば、形に残って存在する。

タイトルどおり、くらやみにストロボな恋でした。

 

 

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