夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

キーリングロック:ymz 感想・ネタバレ

キーリングロック (Honey Milk Comics)

《あらすじ》

フリーターの唯は、ボロボロの状態で道に落ちている男を見つけた。不思議な魅力を持つ男・十識を放っておけない唯は、彼を家まで送り届ける。十識に振り回されつつ、彼を受け入れる唯だったが、朝起きるとドアに鍵をかけられ、外に出られなくなっていた。「俺、監禁が趣味なの」と微笑む十識。これは監禁か、それとも…。日常と非日常の狭間で揺れ動くセンシティブ・ラブ!

手探りな恋

 初めてのymz作品だったのですが、お気に入り本になりました。

少し不思議な監禁ライフと日常のやりとり。お互いに手探りで良い形を見つけようとする過程がとても丁寧で、深い読後でした。

2人が出会えてよかったねと素直に思えます。

 冬の雪が積もってシンとした雰囲気がぴったりだと思った作品です。

 

【ここからネタバレ】

攻め受け表記なし

起:内側からの鍵

派遣のバイトをしながら食いつないでいた唯は、ある冬の日の路上で「しにたい」と口にしながら座りこんでいる小説家の十識を見かけます。

彼の家に運んであげ、酒を飲みながら愚痴を聞いてあげて次の日に目が覚め自分の家へ帰ろうとすると、内側にもかかわらずドアには鍵穴が。

そこから奇妙な共同生活が始まります。

かなりいい加減な唯は、衣食住がしっかりしているからと監禁ライフをちゃっかり受け入れていました。

監禁(仮)だけれど待遇は良い。かなり奇妙な感じでした。

 

:線引き

共同生活を送っていると、案外外からの訪問者は多く、その人たちはちゃんと家へ帰っていきます。

唯が十識の元へ留まる選択をし、十識は唯を家へ置いておこうとする気持ちが働いているからこそ成り立っている監禁生活。この生活は、結局拘束するものが”感情”なので、ものすごく曖昧で危ういものでした。

そんな生活は、唯が大事につけている”ピアス”がきっかけで崩れていくことになります。 

 

:譲れないもの

十識は、自分にピアスを触らせることを拒んだ唯に対し「ピアスが捨てられないならここから出て行け」と言います。

唯にとってその”ピアス”は、今は亡き友人がくれたものでした。その友人との過去の関わりと、彼に対する後悔の念から手放すことができません。

 ”ピアスを捨てることはできないけれど、十識の元からも離れたくない”という気持ちを聞かされた十識は、家に帰ってくることが少なくなりました。

十識の生い立ちからくる彼の一連の行動。自分の傍に居て欲しいけれど待っていてはだめで、でも感情をうまく伝えることが苦手な彼は脆いなと思いました。

 

:会えてよかった

唯は十識が避難していた滞在先へ赴き、彼の心を溶かそうと言葉をかけます。

”共同生活が気に入っていた”と話す唯に対し、十識は”人と人が寄り添う”ことを望んでいて、その望みは唯がきたことにより叶えられたと言います。 

十識の頑なだった心を完全に溶かしたのは、”一緒に信じ合いながら寄り添っていこう”という唯の言葉でした。

お互いに過去に思うところがあって、それは互いがいるからこそ解消ではないけれど和らげながら未来へ向かう事が出来る。そういう希望がみられました。

 

+α

番外編ではその後の2人が読めます。探りながらもお互いにうまく共同生活を送ろうとしている様が見られます。

とくに、がみがみと言いすぎてしまう十識が唯に嫌われたくないとしょんぼりするところとか、唯は十識が言葉を飲み込んでしまうのが嫌でもっとさらけ出して欲しいと苦悩するところは可愛かったです。

お互いのことをちゃんと大事に想っていて、無意識に好き合っています。

 

最後に

2人とも過去の出来事にとらわれていて、それは互いに出会わなければずっとそのままだった問題でした。

その出来事に絡められた感情の機微がとても丁寧に描写されていて、 出会ってよかった、このまま幸せになってという気持ちになります。

奇妙な共同生活から始まるかれらの未来をぜひ読んでみてください。

 

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