夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

泡沫の鱗:ソライモネ (感想)

泡沫の鱗 (ショコラコミックス)

 《あらすじ》

メジャーデビューまであと一歩のところで喉の手術により歌えなくなってしまったシンガーソングライターの鉄太。友人に曲作りを頼まれるも、断り続けていた。

そんなある日、海の近くで父親とレストランを営む凪と出会う。

凪は自分の悩みを見透かしてくる不思議な青年だった。

凪の歌声に体の奥から沸き立つような衝撃を受け、はじめて自分の曲を誰かに歌ってほしいと思った鉄太は店に通い詰めるようになるが、凪には人には言えない秘密があって―――。

夢破れたシンガーソングライターとある秘密を抱えた青年が歌で繋がる切ないファンタジーラブ!

切なファンタジー

あびるあびい先生が改名されてから出される初コミックス。

表紙絵の緻密さと、色の鮮やかさにまず目を奪われます。美しい。

そして切ないファンタジーラブとあるように、本当に切ない。終わりが完全なる幸せなハッピーエンドかと言えばそうではないと思います。メリバではないけれど、ハッピーでもない。

読後感は切ないけれど感動を味わえました。

 

【ここからネタバレ注意】

:出会いは海

歌手として生きる道を絶たれた鉄太は、CDショップで働いています。以前のように歌うことはできないけれど、ギター片手に海辺で口ずさむことはよくある模様。

そんな彼の様子が気になっていた凪から声をかけられます。凪は父親と一緒に海辺の近くでレストランを営んでいるようです。

鉄太が”人に歌を提供する”という新しい道に進むかどうか、を主軸に凪と関わり始めた事で新たな未来を切り開こうとする物語の始まりです。

 

:凪の歌

海辺での出会いの後、凪の店へ出向いた鉄太はそこで酔い潰れてしまいます。

凪に介抱された翌日、偶然彼の歌を聴いた鉄太はそれに惚れ込み歌を歌って欲しいと説得します。なかなか諾と言わない凪から出された条件は”毎日凪の元を訪れて説得すること”。凪に歌って欲しい一心で、彼の元へ通う鉄太は、凪に出会う前とは違い生き生きしているように見えました。

その過程でどんどんと距離を縮めていく2人はとても自然でした。

ところどころで出てくる泡の描写や、波の描写が美しいです。人物の心理を現す役目をしているのではないかと思うくらいに、表情豊かです。

 

転:初心に返って

ついに凪から諾の返事を得た鉄太は、悩んだ末初心に帰り2人でライブを開くことにします。場所はもちろん、凪のお店。

そこからは開催に向けての特訓が始まります。凪のお店を鉄太も手伝いながらの作業でスケジュールは大変そうでしたが、とても充実しているようでした。

少しアクシデントもありながらついに本番。凪は歌いきりました。

その日の夜、心も身体も通わせた2人。とても幸せな時間を過ごしていました。

 

:それまでの出来事

ここを語ると盛大なネタバレになってしまうので、どう表現したら良いのかかなり悩むところです。

ここまで描写されていた物語は全て過去の出来事。海に落ち、1ヶ月もの間眠っていた鉄太が思い出していた記憶でした。

目を覚ました後の鉄太の傍に凪はおらず、鉄太の前から姿を消してしまいます。そしてその後、別れが待っています。

切ないファンタジーとありますから、これはファンタジー。実は凪は人魚でした。表紙にもよくよくみたら、人魚の下半身が凪についているように見えます。

目を覚ましてからの鉄太はかなり苦しい状況に追い込まれるのですが、なんとか立ち直りまた歌を歌うことを選択していました。

 

+α

転までで幸せな2人を見ていただけに、結での展開は正直辛いものがありました。

やはり2人にはずっと一緒に幸せになってほしかったという気持ちが今でもあります。でもこの展開が大好きです。辛いけれど、救いはあって、最後の最後の描写ではもしかしたら2人はまた出会えたかもと思える描写でした。

 

最後に

絶対にバットエンドではないです。でもハッピーエンドでもないしメリバでもない。なんと表したら良いのかわからない終結です。

読後はかなり切ない思いをしましたが、感動に変わります。まるで映画を観ているような気分になりました。

ストーリー性のある、ぐっと切ない物語が読みたいときにおすすめです。

 

 

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