夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

トキオの春:まつ (感想)

トキオの春(BABYコミックス)

《あらすじ》

自分のルックスにコンプレックスを持ちながらも被写体として働く時生(ときお)。
学生の頃に付き合っていた相手にも容姿を否定されてしまったことがきっかけで、セックスそのものに恐怖心を抱いていた。
そんな時生の元に転がり込んだトモヤは時生のトラウマを包み込むように触れようとする。
切ない想いがじんわりとした余韻を残す表題作の他、3本の短編を収録。

切なく深い余韻

「トキオの春」はハッピーエンドなんですが、みんなが幸せで明るいという終わりではありません。

深い余韻が残り、とても素敵な物語だった...という気持ちに浸ることができます。

しっとりと静かな雰囲気で、落ち着いたBLといった印象です。

 

【ここからネタバレ】

「トキオの春」

トモヤ(ヒモ)+アキラ(クズ)×トキオ(モデル)

 

:男を拾う

CP表記を見ると三つ巴だと思われるかもしれませんが、3Pというわけではありません。アキラは元カレ、トモヤは恋人ではないです。

 トキオに”セックスが怖い”という印象を植え付けたのは、元カレのアキラ。トキオはこのことをずっと引きずっていて、おまけに自分の容姿にもコンプレックスを抱いているので全く自分に自信を持てない人。

他人から植え付けられたコンプレックスって心に深く刺さってなかなか無くならないものですよね...

トモヤはある時、トキオが拾ったヒモ。ヒモの典型で、家のこととか家主のメンタルケアとかしっかりとやる変わりに居候させてもらっている様子。とっても優しくて好青年といった印象です。

トキオが気を許しているのがわかります。

 

:トモヤの存在

トキオの元で過ごしていたトモヤ。彼は、モデルをしているトキオの生活を支えつつ、トキオのメンタルもケアしていきます。スムーズにはいかないけれど、確実に改善していっているようにも思えました。

徐々にトモヤがいるのが当たり前になった頃、アキラが現れます。

彼は、過去の行いを後悔していて今でもトキオが好きだと告げます。なんと勝手な!!さすがクズといったところ。

そんなことを言われたトキオはいっぱいいっぱいになり、逃げ出してトモヤの元へ。

 

:ヒモ男

心の拠り所になりかけていたトモヤの元へ戻ると、なんだか彼の様子が変。ヒモ男の悪いところが現れ始めました。

それは1つの場所に留まれないということ。家主の懐に深く入り込みすぎたと判断したら、あっさりとその場を離れていってしまいます。

やはりこの心情を理解することはできませんが、このことを理解したトキオの表情はとても切なかったです。

人と深く付き合えないトモヤと周りに振り回されてしまうトモヤ、どちらも切なかったです。

 

:夏のはじまり

みんな勝手だと悲しむトキオにトモヤは接触していきます。トキオはトモヤに気持ちが傾いているようなので拒むことはありません。

ただ恐怖があったよう。これは、トモヤが優しく語りかけた言葉により解けていったようです。このとき発したトキオの言葉がとても切なくて....

トモヤと変わらずに幸せに暮らして欲しかったという気持ちでいっぱいです。

もちろんトモヤは静かにトキオの元を去って行きました。

お話、題名どおり「トキオの春」彼が経験したひとつの春に起こった出来事。この出来事を経て、最後の描写は精神的に強くなったトキオが見られました。

恋だったのか依存だったのか...寂しくも悲しくはない余韻が漂います。

 

+α

その他収録されている短篇集。

「絡まって落ちる」

教師×生徒の初々しい恋。教師はちょっと枯れてそうな雰囲気で、生徒は食えない奴かと思えば素直な可愛い子。甘酸っぱかったです。

「明日もまた日は昇る」

年越しを迎えるカップルの日常。とても甘くて良かったです。こちらはほのぼの系。

エスケープ」

こちらは帰省のお話なのかな...?説明が少なかったのと、描写から察することができず、いまいちよく分かりませんでした...

 

 最後に

 BL色が濃いかと言われれば、そうでもないこの短篇集。とくに表題作は、ストーリー性があってお洒落な雰囲気が漂っています。まつ先生の絵柄も相まってとてもお洒落。こういう雰囲気のお話がぴったりだと思いました。

静かに日常を生きていく中で起こったイレギュラーを切り取り、覗いたような感覚に陥ります。

読後は、トキオの幸せを思わずには居られません。

余韻を楽しむのが好きな方、静かなBLが好きなかたにおすすめな1冊です。

 

 

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