夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

虚構ユニゾン:アキハルノビタ (感想)

虚構ユニゾン (ムーグコミックス BFシリーズ)

【単行本版】虚構ユニゾン

【単行本版】虚構ユニゾン

《あらすじ》

旧上流階級の貴族である一乗寺春野は失踪した兄を探し貧困層の情報屋・響の元へ依頼に訪れた。
「生きている保証はねぇよ?」
冷たく突き放されても優秀な情報屋と共に兄の存在を信じ、探し続ける。

「大好きな『お兄様』のためでしょう?」
その身を捧げてきた春野を縛っていた者は誰なのか。

「アンタが逃げたいってんなら手ぇ貸すぜ?」
響の優しさに除々に絆され…そして――

 世界観が良い

  作り上げられた世界観がとても楽しかったです。読後の感覚としては、ちょっとラノベちっくな感じなのかな?表現は違うかもしれませんが、普通のBLとは少し違う感覚を受けました。

 そんな作りこまれた世界観の中で、純愛ともとれる恋をしていきます。受けの全てを包み込むような攻めの愛がたまりませんでした。

 本自体も分厚くて、とても読みごたえがあります。

 

【ここからネタバレ注意】

攻:響・裏社会の情報屋

受:春野・一乗家当主

 

:兄を

 NEOとは人間のハイブリットのような形で、身体は人間だけれど頭は動物という見た目をしている人種です。”人間”よりも優位に立っている存在という設定になっています。

 このNEO、目に光がないのでちょっと怖いんです...

 そういう世界の裏社会で情報屋を営んでいた響の前に現れたのが、一乗家当主の春野でした。依頼内容は、「5年前に失踪した兄を探して」というもの。

 なんだかお貴族様の怪しい臭いがぷんぷんするお話でした。

 そして、この2人とは別に出てくるのが義賊であるノア。この正体もすぐに明らかになるのですが、春野の背負うものの多さにびっくりしてしまいます。

 そんな春野ですが、一族の中ではあまり良い立場ではないようです。表向きは当主だけれど、その実はNEOに身体を明け渡して一族を存続させています。

 表では接点のないような2人が、少し裏に目を向けると繋がっている。こういうのって良いですよね。

 

:ノアとして

 響の前では決して自分がノアだとは明かさない春野。でも、ノアとして響と一緒に調査に乗り出します。自分で動かないと気が済まないちょっとじゃじゃ馬な春野でした。

 この関係だけみると、2人は兄弟みたいなんです。身体を使って人を落とそうとする春野の、自分を大切にしない行動を優しくたしなめたり...頭を撫でたり...

 あと、春野として現れたりノアとして現れたり、なかなか忙しいなあと思ってしまいました。

 そしてついに春野の兄の情報をつかんだかに思えた2人。響はそれとは別に、春野のNEOとの行為についても知ってしまいます。そこから逃げ出す手助けも提案されますが、春野は拒んでしまいます。どこか諦めているところが切ないですね。

 ここら辺から徐々に2人の距離が縮まっていきます...春野が時たま見せる可愛い表情とか、愛され慣れていないところとか。たまらなく愛しいです。

 

:揺らぐ心

 兄さまに出会えると思って向かった先、そこにいたのは別の人。

 その人物から春野は、一乗家の過去と兄のこと、己の今の境遇について知ることになります。えげつないけれど、貴族としてはありそうだな~と思いました。

 でもこの話を知ると、春野は実の母親からNEOとの行為をさせれていたのか...と驚いてしまいます。てっきり継母だと思っていました。

 全てを知った春野は、そこから先の真実へたどり着くことを恐れてしまいます。この時の春野のセリフは、胸を打つものがありました。とても激しい気持ちが吐露されています。

 ”愛してほしい”がにじみ出ていた春野を、なだめるように慰めるように「愛してやる」と声をかける響。ずっとこのまま春野は愛されればいいと、思わずにはいられません。

 でもそれで終わらないんですよね~まだこんなに残りページがある!!とどきどきしました。

 

:ただの春野

 ずっと幸せになるかと思ったのも束の間、兄さまの現状について知ることとなった春野。ここ、かなり確信に迫るところなので、ぜひ読んでいただきたいのですが、人間とは恐ろしいなと思いました。

 母親も被害者で、失踪した兄も被害者。けれど彼らがした春野への仕打ちは、ひどい物。春野以外は救われないなあと思う。貴族というものを見た気がします。

 兄の事を知り、響のもとを離れた春野ですが、ここは響が迎えに行きます。

 一乗家の春野として生きるか、春野として生きるか、という響からの問いの答えはもちろん後者。

 愛に飢えている春野を包み込むように、けれど甘やかすのではない響の行動は春野へしっかりと伝わっていました。

 

+α

 物語として楽しく、壮大な設定がつぶれることなく進んでいきます。

 描きおろしがなかったのが悔やまれますね...本編は甘さが足りなくて...もう少し、春野が愛されて幸せになっているところが読みたかった...

 ただ物語の最後、なんだかんだ尻に敷かれている響と、不器用ながらも甘えている春野が見られて満足しています。

 

最後に

分厚く、読み応えのあった今作。恋に重点を置いたBLというよりは、物語を通して恋を感じるBLでした。

ファンタジーなところが、より楽しさを引き立ててくれます。

わくわくと心くすぐられる設定のBL。ぜひ読んでみてください。

 

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