夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

メトロ:本郷地下 (感想)

メトロ (eyesコミックス)

《あらすじ》

性に対して親から抑圧され続けてきた水葵は、通学中の電車内、いつも同じ時間、同じ車両で見知らぬ男に体を触られていた。

逃げることは出来たのに、その行為を受け入れてしまう水葵。ある時、水葵はその男──忍を見つけ出し、取引を持ちかける。

「…教えてください。電車でした、それ以上のこと」マゾヒスティックな水葵の“命令”に、淡々と応えていく忍。しかし、背徳に耽り、欲望に溺れる日々の中、無感情だった忍にも、次第に変化が訪れ始め……。

闇を抱える男×抑圧に苦しむ少年の、生々しくも美しい、インモラリティ・ボーイズラブ

 抑圧された先は

 こんなにもエロティックな表紙になるとは思っておらず、書影が出たときは本当に驚きました。

 もちろん抑圧された性が一つのテーマであるとはいえ、こんなにもエロを全面に出してしまうのかと...単話売りで話の内容を知っていただけに、勘違いされないかな...とか考えてしまいました。

 でもエロだけではない深いテーマがあるので...やはり紙で続けて読むと印象が変わりますね。最高です。

 エロ成分が増えただけで、本郷地下先生の作風が変わったわけではないので安心しています。

 あと描きおろしまで読んでいただきたい。これを読めばさらにこの話の印象が変わると思います。

 

【ここからネタバレ注意】

攻:忍

受:水葵

 

:痴漢

 本郷地下先生が試し読みで一話分ツイッターに載せているので、読んでみてください。はじまりのインパクトは凄まじいと思います。

 犯罪行為である”痴漢”がこの2人が接点を持つきっかけ。でもAVのように安っぽい性欲を解消するための行為ではありません。

 但しえろい。乳首攻めを前面に押し出されていますが、乳首攻めの極みのような感じです。 

 いつも電車の中で行われていた痴漢行為。ただ触られていただけの関係が、攻めから初めて声をかけられたことにより発展していきます。

 声をかけられた水葵は、攻めとかかわりを持とうとします。まさか痴漢の被害者側が積極的に加害者に声をかけていくなんて...と衝撃を受けました。この理由はあとからわかります。

 そしてそんな水葵対して忍が発言した「君の命令で、君を抱く」これ、ほんとこの言葉が全てです。

 

:抑圧

 水葵が痴漢という行為を受け入れて、忍に対して積極的にかかわろうとした理由。

 これは水葵の母親の過剰な干渉に起因しています。いわゆる毒親というやつ。

 とくに父親が不倫をして出て行ったせいで、性的なものを過剰に排除してしまう母親。それはもちろん水葵に対しても発揮されてしまいます。

 私生活で抑圧されすぎて息を詰まらせていた水葵を救ったのは、忍からの行為だったのだな...と感じました。

 母親から逃げること、逆らうことが水葵の気持ちをすっきりさせていくのだろうなと。

 忍と関わることにより、少しずつ変化が出てきた水葵。

 この忍との関わりはもちろん性行為なので...まあ~~~えろいです。エロティックでインモラル。水葵はとろとろに溶けていきます...

 そして次第に忍自身のことに興味を持ち始めます。

 

:忍

 読んでいて忍に感じたのは、あまりにも闇が深すぎるということ。

 水葵に対して痴漢行為をしていた理由が、途中で明かされるのですが、深すぎる闇にゾットしました。もちろん忍にも過去があり、明るかった未来がどん底に落ちた時、絶望してしまうのも理解できます。

 それが自分を”終わらせて”ほしいに繋がり行動する。この思考が切なかったですね...

  物語を通して変化していく水葵に対し、全く変わらず更に変わることを拒否している忍。この対比が顕著で、そこが一層怪しく映りました。

  それでも、水葵と関わることにより少しずつ、意図しない変化が忍に訪れてきます。それに拒否反応を起こしているところも、闇の深さを感じました。

  そして明るい方向に変化していた水葵が、受け入れられなくなった忍は彼の前から姿を消してしまいます。

 

:許さない

 忍と連絡が取れなくなってしまった水葵は、出会った頃に借りたままだった彼のコートにすがります。そこから出てきたのは2種類の鍵。 

 彼との関係の最中”鍵をなくしてしまった”という理由で入れなかった部屋へ入った水葵は、忍の過去を知ることになります。

 そして忍が死のうとしていることを理解し、出会った時の駅へと向かいます。

 忍と対峙したときの水葵の独白は迫るものがありました。

 「苦しみながら生きて」なんて。忍に対しては強い威力を発揮すると思います。

 この最後、ものすごく幸せなハッピーエンドではないです。でも2人とってはハッピーエンド。メリバですね。

 共依存で共犯関係。1人で降りて楽になることは許されない。愛以上のもので繋がっている2人でした。

 

+α

  描きおろしは本編その後。相変わらず関係性は変わっていないようですが、心はお互いに向いている気がします。

 水葵は表情から好きが伝わってくるのですが、忍はわかりにくい...いつかは明るく克服をと思ったり、ずっとこのままでもと思ったり。ジレンマですね。

 水葵の母親のその後も描かれています。彼女もすさまじい闇を持ち合わせていますね。闇というか病み。いつか水葵がもっと力を持った時、ちゃんと治療させてあげてほしいなと思います。

 この描きおろしの最後、忍から発せられた言葉に感動しました。これは本当に読んでほしい。これからの未来がきっと明るいものであると予想させてくれます。

 

最後に

扱われている題材が重たいだけに、とても明るくハッピーなお話ではありません。

エロさも増しているのでインモラル感は半端ないです。

必ずしもハッピーエンドではないので、人を選ぶかもしれませんが、一筋の光に未来を感じられる人はぜひ読んでください。

あと乳首攻めが好きな人も満足できる一冊だと思います。

カバー下に単話売りのときの表紙が使われていてうれしかったですね~!この表現大好きです。

エロだけではない物語、ぜひ読んでいただきたいです。

 

↓本郷地下先生のツイート試し読みはこちら

 

↓単話売りでいち早く読んだときの感想はこちら

gin2rou-f.hateblo.jp

 

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