夜明けの腐日記

「商業BL感想・雑談」ネタバレ注意!!

紅椿:三田六十 (感想)

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《あらすじ》

「この想いは慈愛か劣情か」孤独な青年・佐吉が拾ったのは鬼の赤子。

アカと名付け育てるが、アカの将来を案じ山に戻す。

しかし時が過ぎても心の中で燻る想いから、佐吉はアカを探しに山へ、そこで出会ったのは…。

人と鬼の言葉の通じぬもどかしさと深まるふれあいを描いた人外BL草紙。

 言葉はいらない

  読後はハッとさせられました。そういえば、人外と人間の交流の場合って本来はこうなんだろうなあという...

 小説ではよくあるパターンだと思うのですが、それを漫画で表そうと思ったのが本当にすごいです。かなり一方的な描写になってしまうと思うので。

 終始攻め視点の話で人間のエゴのようなものを強く感じましたが、ラストとあとがきを読み、そうではなかったのだと納得できました。

 これはすごい。

 

【ここからネタバレ注意】

攻:佐吉

受:アカ

 

:赤子

 とある里で人から離れて1人暮らしていた佐吉。彼が山で拾ったのが、鬼の子でした。そこから献身的に世話をしていく佐吉。

 小さい頃のアカの仕草はとても可愛くて、たまりません。とくに、外に連れ出されるときの格好が...手と足を布で包み、頭もすっぽりと隠してしまうスタイル。

 ぎゅっと抱きしめたくなる可愛さです。

 けれどどれだけ一緒に暮らしても、”人間”になることはできないアカ。言葉も覚えないし、行動は鬼のままです。

 アカの気持ちは言葉にはなっていませんが、表情や行動で推測することができます。なんとも切ない気持ちにさせられました。

 

:少年

 大きくなるにつれて、鬼に近づいていくアカ。鬼といえばどうしても、肉食なんでしょうか...森の動物を食べるようになります。

 それを見つけてしまったときの描写は、佐吉に対するダメージの大きさが強くて苦しかったです。1人だった彼がアカに出会い孤独ではなくなった後、突き付けられる”アカは人間ではない”という現実。そしてアカを山へ帰してしまいます。

 個人的には一緒にいたのに手放してしまうなんて...どこか薄情にも思えてしまいました。けれどこれもアカ側の気持ちが、言葉で語られないからこそ。

 人間側の気持ちしか、読者は知ることができません。

 

:幻影

 アカを帰してからというもの、佐吉はアカの幻影を追い求めます。なかなか痛々しいですね。そんなになるなら手放さなければよかったんんじゃ...なんて思いますが結果論にしかなりません。

 ようやく生きたアカを見つけることができた佐吉。アカは少し成長していました。けれどもやはり鬼のまま。

 アカがどんなことを感じて思っていたのか、推測することしかできないのが本当にもどかしいです。彼視点の話も読みたいなあ。

  彼への執着っぷりをみるに、佐吉の病み具合が目立つようになった気がします。結構不安定な精神状態。それが孤独だったからなのか、アカへの想いなのかはわかりません。

 

:言葉

 ここからの展開を書いてしまうと盛大なネタバレになってしまうのですが、最後はハッピーエンドです。これだけは断言できる。

 けれどそこに至るまでには長い年月が必要ですし、佐吉は結局苦しい想いのままだったと思います。最期のときまでは。

 最期の最後、ようやくアカと似た存在になることにより言葉も交わせますし、幸せを手にすることができます。 

 

+α

 描きおろしは本編その後の2人。

 個人的にはこの話が本当の意味でラストなのでは....と思っています。アカと同じ存在になるということは、必然的に鬼と同じ生命速度になるということだと思うので。

  

最後に

 人間側の視点しかしることができなかったがゆえに、どうしても人間の過ぎた行動が目立ってしまった部分はあると思います。一方通行気味に見えるときもありました。

 けれどそれだけではないのが、この2人の心の交流だと思います。

 言葉の通じない人外との切なくて、苦しくて幸せな物語。 

 ぜひ読んでみてください。

 

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